ギフテッドの研究者が解説する映画『ギフテッド』

0
    11月中旬に National Association for Gifted Children(NAGC)のannual conventionがありました。

    私は当然ながら参加していませんが、UConnのレンズーリ教授、リース教授など教授の方々はもちろん、博士課程の皆さんも発表していて、おぉ〜〜!と勝手に応援しておりました。

    NAGCのコンベンションは、毎年ギフテッド/ギフテッド教育の(大御所&若手の)研究者が一斉に集まる一方で、ギフテッドの子を持つ家族やローカルのギフテッド・プログラムの教師、コーディネーターなど誰でも気軽に参加できるため、私も一度はぜひとも参加してみたいと思っています。

    ちなみに(日本では全米天才児協会と意訳されることもある)NAGCの会員には誰でもなれますよ。。

    年会費は必須ですが、ご興味ある方はコチラをどうぞ。

    蛇足ながら息子の学校のギフテッド・プログラムの先生方もブースを構え、又、何やらプレゼンもされていたそうです。

    そういえば私の今学期のコースのクラスメイト(=某州のローカルスクールのGATE teacher)も参加してきたそうですよ。

    会場で、現在コース内で使用しているテキストの筆者かつUConn卒業者である教授にも「偶然会った!話してきた!」と興奮していました(笑)

    ギフテッドの研究自体が比較的新しいためか、大御所の教授の方々(例えばUConnの教授の方々とハワード・ガードナー教授など)が普通に皆知り合いで、いまだに毎回びっくりしてしまいます。

    「当時ジョーはこうこうこう主張していたけれどボブは当然それに意を唱えていて、どうのこうの・・・」などという教授のレクチャーを聞きながら

    ジョーはレンズーリ教授だけど・・ボブ・・・・って誰だっけ??

    と話半分に記憶の糸をたぐり寄せていたら、そのボブは普通にロバート・スタンバーグ教授だった、私の記憶の糸先には存在し得ない方だった、、、とか (^^;;

    皆さん同世代なのですね。

    まあそれはいいのですが、今回のコンベンションでは、映画『ギフテッド』の脚本家トム・フリン氏がスペシャル・ゲストとして招かれており、フリン氏の『ギフテッド』にまつわる話&裏話を、ギフテッド研究者の大御所である心理学者シルビア・リム教授(レジェンド!と誰かが呼んでいた。笑)が、対談形式で、専門家として解析されていました。

    下記が↓フリン氏とリム教授の対談のFB動画です。

    https://www.facebook.com/nagcgifted/videos/1524216810987270/

    1時間半弱の長い対談でしたが、リム教授の専門家としての分析、解説が非常に面白く、私の今学期最後のプロジェクトにも大変役に立つ内容でした。

    (このLIVEの存在を知らせてくれた友人へ。いつもありがとう。。)

    時間のある方は(英語ですが)ぜひ!

    対談は動画の10.00頃から始まります。

    対談のなかでリム教授が指摘され、改めて「大事だな」と感じた点を以下に幾つか挙げたいと思いますが、映画を観たことが大前提となりますので、ご了承ください。

    いよいよ日本公開です。

    **********

    【映画『ギフテッド』におけるリム教授のポイント】

    *メアリーは数学の超ギフテッドであるが、ギフテッドには “マイルドにギフテッド” からメアリーのように “超ギフテッド” まで、様々存在している。

    *メアリーのような超ギフテッド(PG/Profoundly Gifted)は、ギフテッド人口のなかでも数少ないが、存在する。

    *メアリーは数学のギフテッドだが、ギフテッドのなかには(数学や、ほか理系分野ではなく)文学のギフテッドや芸術のギフテッドなども同等に存在している。(映画でメアリーを数学のギフテッドにしたのは、フリン氏の家族のなかに数学のプロディジーがいるからだそう)

    *メアリーにも顕著に見られるように、ギフテッドは不均衡に成長していくのが特徴的だ。(例えばスクールバスのなかで いじめっ子に立ち向かい容赦なく怪我をさせてしまう箇所など、正義感が強い部分もさることながら、知的な部分が大学生以上に秀でているのに対して精神的に未熟というか、そこは実年齢相応というか・・・)

    *映画ではメアリーの叔父フランクと祖母エブリンが “メアリーの育て方” について対立するが、どちらの主張も間違ってはいない。

    *しかし、フランク、エブリン、どちらも極端に突っ走っており、実際の話であったらどちらの育て方も微妙である。

    *フランクも(メアリーの母である姉の死のトラウマから)「メアリーは子どもらしく普通に育てたい」と頑なになり過ぎているが、結局のところホームスクールで(教材を与えたのか実際に求められるまま教えたのかは不明だが)メアリーが微分積分まで習得できる環境を整えたのはフランク自身であり、そこにフランクの葛藤が見られる。

    *メアリーのように “学びたい子ども” のニーズを「子どもらしく育てたい」「普通に育てたい」からといった理由で無視するのは情動的にも絶対にいけない。先に先にと学んでいくのがメアリーにとっての “普通” なのだから。

    *この映画のなかでのベストな教育オプションは、メアリーの学校が勧め(フランクが拒否した)ギフテッド・スクールにメアリーを通わせることだった。ギフテッド・スクールはギフテッドのアカデミック・ニーズ、ソーシャル&エモーショナル・ニーズを理解している。フランクが望んでいた “同年代の友達ができる環境” もメアリーに与えることができた。不均衡に成長していくギフテッドの、いずれ巣立つときのための最適なソーシャル・トレーニングの場ともなり得た。ギフテッド・スクールはそのために存在している。

    *才能開花に執着するエブリンも、やはり数学の超ギフテッドだった娘(メアリーの母)を死に追いやってしまったほど極端だが、フランクのように「普通の子どもらしく育てたい」とメアリーの才能を極端に否定する育て方も(そのような家族に実際何度も遭遇してきたが)ギフテッドの子達を追い詰めてしまいかねない。

    〜シルビア・リム教授と脚本家トム・フリン氏との対談より抜粋@NAGC2017〜





    にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
    にほんブログ村


    ギフテッド教育が学べる米大学院

    0

      大学院の課題をこなすのに必死で恐ろしいほど更新ができていませんが、今日は少し時間がとれたので、将来的にギフテッド/ギフテッド教育をアメリカで学びたいと考えている方々に、ギフテッドに関して研究できるアメリカの大学院を大雑把に紹介したいと思います。

      私がいろいろ調べていた2015~2017年に出てきた情報のほとんどが修士か博士のプログラム、又は、大学の生涯教育や大学院がofferしている資格(certificate)でしたが・・・

      この↑資格というのは、地元のギフテッド・プログラムの教員になりたい教師が、すでに取得している教員免許にプラスして持つための資格であることが多いように思います。

      ギフテッド研究に関しては(やはり特殊な分野なようで)学べない大学院も結構あり、そこは注意して見なくてはいけないかなと思います。

      ちなみに私が検討していた修士プログラム@大学院は以下の通りです。

      コネチカット大学
      パデュー大学
      アリゾナ州立大学
      北テキサス大学

      前者2校は研究機関として成立していて、後者2校はオンラインのみで修士号が取れる修士プログラムです。

      州ごとにギフテッド/ギフテッド教育を学べる大学がリストアップされているサイトもありますが、やはり修士や博士、資格プログラムが多いです。

      Davidsonのデータベースにも記載されています。

      ギフテッドの研究は(大学)機関によってアプローチが結構分かれているように思います。

      "Special educationの中の一分野としてのgifted education" と分類している機関が多く、その場合は『教育学』又は『教育心理学』のdepartment/school/collegeにカテゴライズされています。

      純粋に "ギフテッドのみの研究機関" を持つ大学院はアメリカでも少ない気がします。

      宣伝みたいになってしまいますが、私が学んでいるコネチカット大学大学院はその数少ない大学院の一つで、独立したギフテッド教育の研究機関を持っています。

      ただ、ギフテッドそのものを研究するのか、ギフテッド教育を研究するのかでもアプローチの仕方が違ってきて、コネチカット大学大学院では、ギフテッドの研究というよりは、レンズーリ教授陣の "個性と才能を見つけて伸ばすギフテッド教育" の研究に比重が置かれていると思います。

      ギフテッド教育ではなくて、ギフテッドそのものの研究をしたいとなると、コネチカット大学大学院は違うかもしれません。

      あるいは『心理学』で臨床(clinical)の道に進み、ギフテッド&2eの専門家を目指すという方法もあります。

      しかしアメリカで臨床心理士になるには(とはいってもカリフォルニアしか調べていませんが)まず博士号まで取らねばならず、その後の心理士ライセンスの試験もとんでもなくハードだと聞きました。

      研修期間も含めると、莫大な時間と費用がかかるため、主婦かつ母である私には不可能だ、、、とあきらめましたが、若い学生さんなら全然可能だと思います。

      これはあくまで個人的な理由ですが、キャンパスで実際に学ぶ場合、私自身は保守的な州ではうまくやっていけないと経験上感じるため、2015~2017年に大学院を調べた際も、超保守的な州の大学機関は調べませんでした。

      (オンライン学習のみなら保守的な州でも大丈夫だと思います。)

      リベラルな州の大学機関となると、西海岸か東海岸、と かなり選択の幅が狭まってしまいますが、すでに人生を折り返し、老後を見据えている私の場合、将来万が一その州で長く研究することになっても精神的に大丈夫か、ということも考慮いたしました。

      私はちらっとしか調べていませんが、アイオワ州やジョージア州、中西部や南部のどこかの州が、ギフテッド教育に力を入れていた(=お金もかけていた)と思います。

      そういう州の大学機関では、ギフテッド教育に携わる者の養成にも熱心ではないかなと思います。

      将来このギフテッド/ギフテッド教育分野に進みたい方々がいるのなら・・・と私が調べた範囲を雑に紹介してみましたが、なんらかの参考になれば幸いです。


      【大学院での風景】

      教授のレクチャー。

      クラスメイトの発表。

      メモをとる図。

      夜は宿題@寮。




      にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
      にほんブログ村


      レジリエンスがKey

      0
        ギフテッドの特徴(完璧主義、内発的動機、強烈な感性、共感性、高いモラル意識、自己実現欲求、高度なユーモア、レジリエンス)のなかで、レジリエンスが成功のKeyだ!と私の今学期のコースの担当教授は考えているそうです。

        (子どもの “成功” という英単語のなかには心身健康な成長という意もニュアンス的に含まれていると思います。)

        レジリエンスを育むことによって、例えば完璧主義など、ほか7種の特徴から引き起こされるストレスなり苦境をコントロールしていけるからだそうです。

        レジリエンスは最近日本でもよく耳にしますね。

        検索すると、はねのける力、逆境から立ち直る力、しなやかな強さ、折れない力などが出てきます。


        復元力、回復力、弾力、逆境力・・・

        私は個人的に “逆境力” という言葉が好きですが、この逆境力は、ギフテッドにとってだけでなく、皆にとって大事で、皆が身につけたいスキルだと思います。

        このレジリエンスを育むには具体的にどうすれば良いのかを(先月)クラスで議論したのですが、結果、レジリエンスを育むのに必要な4大要素は『grit』『self-efficacy』『growth mindset』『optimism』だ、という結論に至りました。

        gritとは やりぬく力、やり切る力。あきらめない!

        self-efficacyは自己効力感。他者と比べない、自分を過小評価しない、自分は自分のペースで成長(前進)してるし!

        growth mindsetとは成長する思考。自分はいつだって柔軟に変われる!

        optimismは楽天主義。(楽天的思考?)大丈夫、大丈夫!

        ちなみに こちらはアンジェラ・リー・ダックワース氏の有名なTED talks “Grit: The Power of Passion and Perseverance ” (日本語字幕付き)、そして こちらがgrowth mindsetの研究者キャロル・ドウェック氏のTED talks “The power of believing that you can improve”(日本語字幕付き)です。

        これらに関してはすでにあーちゃんママさんが紹介されていましたが、大学院のコースでも大きなトピックとして学んだため、こちらでも(TED talksも含め)記しておきたいと思います。




        にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
        にほんブログ村


        ギフテッドと心身的強烈性との相関関係

        0
          Twitterでも お知らせしましたが、WISCなどのIQテストで測定できる知能(認知能力や推論能力)と、免疫性疾患、精神的疾患などとの相関関係が認められたというリサーチ結果が発表されました。

          こちらがその論文です。


          High intelligence: A risk factor for psychological and physiological overexcitabilities

          Authors:
          Ruth I. Karpinskia @ Department of Psychology, Pitzer College, 1050 N. Mills Avenue, Claremont, CA 91711, USA
          Audrey M. Kinase Kolbab @ Department of Industrial-Organizational Psychology, Seattle Pacific University, USA
          Nicole A. Tetreaultc @ Department of Research, Awesome Neuroscience, USA
          Thomas B. Borowskid @ Department of Psychology, Pitzer College, USA

          Received 20 November 2016, Revised 12 July 2017, Accepted 18 September 2017, Available online 8 October 2017.


          先日のブログ記事『特徴の理解と適切なサポートの必要性』でも書きましたが、つい今夏 “これらの(OEを含むユニークで強烈な)特徴があるからこそギフテッドは『生きにくい』『社会に順応しにくい』というわけではない” と大学院で学び、今学期の教科書でも “NAGCのメンバーでもある教育者、心理学者、研究者が共同で行なった調査の2002年の報告によると、ギフテッドがユニークなソーシャル&エモーショナルな性質や特徴を持っているとは実証できなかった” と記載されていたので、この論文発表は衝撃でありました。

          この調査報告によって全世界のギフテッド界が・・・少し揺れ動くのかな??

          個人的な経験談はアカデミアではなんの意味も価値もないことは十分承知ですが、知能が高いほどアトピー、アレルギー、喘息などの免疫性疾患や、鬱、不安障害などの精神性疾患にさらされる率が高くなる、という実体験には長年苦しめられてきたので、相関関係が2002年の時点では実証されなかったことに私は内心がっかりしておりました・・・



          私が実証できるわけもないので、NAGCや大学院で提唱されるように、相関関係の有無に関係なく、ソーシャル面やエモーショナル面で困難を抱えているギフテッドの子達に関しては、アカデミック・ニーズを満たしながらも、その個々人に適切なケア、サポートをしながら、親である私達が包括的に育ていくしかない、と自分に言い聞かせていたのですね。

          私自身は今じつは極限的に課題ほか諸々に追われていて、まだこの論文を読めていないのですが、興味がある方はぜひぜひ!読んでみてください。。

          もちろん知能と心身の強烈性に相関関係が認められたと実証されたからといって、ギフテッドを毎日毎秒365日育てている私達親の独特な問題がすぐさま解決するわけではありません。

          それでも研究、解析がどんどん進み、いろいろな不思議が紐解かれていったら、ギフテッドにも優しい社会が、可能になるんではないかな(´-`)

          どうでしょう?




          にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
          にほんブログ村

          Twitter

          0

            大学院の課題と、今年度よりhigh schoolerになった息子のadvocateでちょっと忙しく、まったく情報発信ができないでおります (^^;;



            少し余裕があるときは、ブログは無理でも、せめてTwitterで発信していけたらなぁ・・・と苦手なTwitterを駆使している最中。

            文字数が限られているのが辛いというか、誤解がないよう上手に内容を凝縮させて伝えなければ!と変に頭を使うので、なかなか使いづらいのですね。

            苦手かも、、、

            しかし時間がとれたときは頑張ってツイートしようと思ってはいるので、ブログが更新されていないときなど、よろしかったらTwitterをチェックしてみてください。。

            こちら↓がEGMのアカウントです。

            EmbracingGiftedMinds

            外出時も

            課題に追われている故、気長に気長にお願いいたします。




            にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
            にほんブログ村


            映画『gifted』

            0

              今学期三大プロジェクト第1弾の課題のリサーチペーパーを書いている合間に

              映画『gifted』を

              観ました。

              課題からの現実逃避でもありますが、今学期のコースの三大プロジェクト第3弾で使えそうなので。

              (ちなみにプロジェクト第3弾はギフテッドが主人公の文学や映画など二作品の比較分析ペーパーです。)

              アメリカのギフテッド・コミュニティでも、ウソ臭くなく、的外れじゃなく、要はギフテッドの現実にありがちな話で、ギフテッドというよりは家族愛に重点が置かれている純粋に良い作品だと評価が高かった『gifted』ですが、まさにその通りでありました。

              “おじさん” の言い分も “おばあさま” の言い分もわかるし、どちらも間違ってないよね・・・と。

              あとはもう、子ども本人の希望や性格、特質や(ある場合は)困り感、家族の(例えば文化なり経済的な)環境や状況によって、家族それぞれが選択し、決断し、柔軟に進んでいくまでかと思いました。

              日本では確か11月公開ですよね。

              個人の参考になる、ならない、というより、この映画がこのタイトルのまま日本で劇場上映されることに意味があるのだろうと思います。

              さて、課題に戻ります・・・

              皆さんは良い日曜日をお過ごしください。。




              にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
              にほんブログ村


              特徴の理解と適切なサポートの必要性

              0
                今週の授業のメモより。

                【結論】
                ギフテッドのソーシャル&エモーショナルの特徴を理解し、その(ギフテッド個人それぞれ違うかもしれない)ニーズを適切にサポートすることが、ギフテッドの教育者には求められます。

                Text: Understanding the Social and Emotional Lives of Gifted Students by Thomas P. Hébert, Ph.D.

                【ギフテッドの特徴】
                ・Perfectionism(完璧主義)素晴らしいパフォーマンスの原動力
                ・Internal Motivation/Inner Locus of Control(内発的動機/内部要因思考)
                ・Emotional Sensitivity, Intensity & Depth(過敏性、強烈な感性、OE)
                ・Empathy(共感性)
                ・Advanced Levels of Moral Maturity w/Consistency Between Values & Actions(高いモラル意識&善悪の基準)
                ・Strong Need for Self-Actualization(自己実現欲求)自分らしく生きたい!
                ・Highly Developed Sense of Humor(高度なユーモア)
                ・Resilience(レジリエンス)逆境力、しなやかな強さ、折れない力

                【注目点】
                すべてのギフテッドに上記すべての特徴が見られるわけではなく、又、これらの特徴があるからこそギフテッドは『生きにくい』『社会に順応しにくい』というわけではない。

                What!?!?

                【詳細】
                ・ギフテッドの親や家族、学校の教師らは、上記のギフテッドの特徴を実際(日々)目にし、困難さも体感し(続け)てきている。
                ・しかしギフテッドを心理学面から研究する学者のなかには、"ギフテッドだからユニークな性質、特徴を合わせ持っているのではなく、ギフテッドが生まれ育つ文化的背景がギフテッド個人に影響を与え、ギフテッドがギフテッドであること(=上記の特徴など)を強く体感させているのだ" と解釈する者もいる。(ユニークな特徴は "ギフテッドの資質" ではなく "純粋に個人の資質" で、その資質を際立たせてしまう&ときには生きにくくしてしまうのは、周りの文化なり社会、環境だ、ということかな?)
                ・NAGCのメンバーでもある教育者、心理学者、研究者が共同で行なった調査の2002年の報告によると、ギフテッドがユニークなソーシャル&エモーショナルな性質や特徴を持っているとは実証できなかった。(下記の英文テキストを参照)
                ・逆にギフテッドは、周囲の理解や適切なサポートさえ得られれば、備え持つ資質で自ら逆境を乗り越え、能力をフルに開花させることが明らかになった。
                ・ギフテッドを実際に育てたり教育している我々は、常に両論を考慮して、ギフテッドが健やかに成長できるよう配慮すべきである。


                "A comprehensive review of research was conducted by a task force of educators, psychologists, and researchers from National Association for Gifted Children (NAGC; Neihart, Reis, Robinson, & Moon, 2002). This report revealed a limited research base on which to draw conclusions about whether gifted students have unique social and emotional characteristics and traits. The NAGC task force concluded that there was no evidence that gifted young people were more vulnerable or flawed in their social adjustment. Rather, they noted that many gifted young people have assets that, when supported, many actually augment their ability to overcome adversities and utilize their talents to achieve personal fulfillment. The task force members called for educators to respect the unique and varied characteristics related to giftedness seen in young people."(Hébert, p. 54)

                Reference
                Hébert, T. P. (2010). Understanding the Social and Emotional Lives of Gifted Students. Waco, TX: Prufrock Press. ISBN-13: 978-1-59363-502-2





                にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
                にほんブログ村

                完璧主義を味方にしよう

                0
                  ギフテッドは完璧主義だと言われています。

                  完璧主義は否定的にとらえられることが多いですが、これを肯定的にとらえることで、完璧主義本来の持つ良さを活用し、健全な方向に導いていきましょう!とコロラドにあるGifted Development CenterのDr. Linda Silverman(心理学者)が唱えられていて、私は親として「子どもの完璧主義をどうにかしなきゃ!」という呪縛から少し解放され、少しだけほっとしております(笑)

                  原文はPerfectionism - Understanding Our Giftedというジャーナルだと思われますが、私は今学期とっている大学院のコースのテキストからDr. Silvermanの論文の抜粋された一部を読みました。

                  テキストによると、Dr. Silvermanは、完璧主義を、ギフテッドがより高い目標に向かって突き進む原動力と考えていて、だからこそこの完璧主義の性質を、直すべく問題ではなく、ポジティブな方向へと導くべきエネルギーだと提示されています。

                  " '問題は、完璧主義そのものにあるのではなく、我々の完璧主義に対する見方、姿勢にあるのではないでしょうか。(中略)完璧主義に見られるそれぞれの特徴とは『良いモノ』でも『悪いモノ』でもなくて、単純に『そういうモノ』なのです。(中略)ギフテッドがギフテッドであることの一部なのです。完璧主義に操られるのではなく、完璧主義を自身の味方につけたとき、あなた(ギフテッド)は世界を変えられるかもしれません。'(p. 11)

                  シルバーマン(1989)によると、教育者は、完璧主義を正すべき欠点だと植えつけるかわりに、完璧主義の真価を子ども達自身が認められるよう導いていく必要があるそうです。完璧主義にも有意義な意味があると理解させるのです。素晴らしい功績も完璧主義の賜物です。すべてに完璧主義を貫くのではなく、自分にとって譲れない大切なアクティビティに対してのみ完璧主義的になるようギフテッドの子達を導いていくのが良いでしょう。自分自身は目標は高く持つべきですが、その完璧主義的性質を他者に向けてはいけません。自分自身の成功にフォーカスして、失敗してもへこたれず、理想を捨てず、目標を達成する能力が自分にはあるのだと信じることがギフテッドの子達には必要です。"(Hébert, p. 61)

                  Reference
                  Hébert, T. P. (2010). Understanding the Social and Emotional Lives of Gifted Students. Waco, TX: Prufrock Press. ISBN-13: 978-1-59363-502-2




                  にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
                  にほんブログ村

                  SEMの基礎中の基礎知識

                  0
                    夏にとったコースの課題で全校拡充モデル(SEM)を簡単に紹介する記事を書きました。

                    ようやく訳す時間がとれたのでシェアしたいと思います。

                    記事では簡単にまとめて説明していますが、これはSEMという氷山の一角であり、私自身まだ全然きちんと理解できていません。

                    理解できていませんが、基礎の中の基礎知識ということで、まとめてみました。

                    **********


                    A brief introduction of the SEM program
                    ~ Gifted education for all students ~

                    by EmbracingGiftedMinds

                    The Schoolwide Enrichment Model (SEM) is a curriculum model developed by Dr. Joseph S. Renzulli and his colleagues at the University of Connecticut. Having spent decades of researching and testing, they have developed the SEM for all students in a regular classroom. It is based on the idea of the “Three Es of the SEM - enjoyment, which leads to higher engagement, which in turn leads to greater enthusiasm for learning.” (Renzulli & Reis, 2014) The research shows that students learn better and achieve more when the Three Es are present. The curricular basis for the SEM is three types of enrichment. Type I enrichment is to expose all students to various topics. Activities include field trips and guest speakers. Type II enrichment is also for all students to train skills such as creative problem-solving and critical thinking skills while exploring a problem further in groups. Type III enrichment is for highly committed students from the talent pool to investigate real problems as practicing professionals would. Although Type III enrichment is not for all, students who strongly wish to pursue their projects will be allowed to do so. As you can see, the goal of the SEM is to include as many students as possible, and to help them develop their talents and become creative producers.

                    References
                    Renzulli, J. S. & Reis, S. M. (2014). The Schoolwide Enrichment Model (3rd ed.). Waco, TX: Prufrock Press. ISBN-13: 978-1-61821-164-4


                    【説明つき訳】
                    全校拡充モデル(Schoolwide Enrichment Model 以下SEM)とはコネチカット大学のレンズーリ教授らが開発したカリキュラム・モデルです。レンズーリ教授らは数十年に渡りリサーチとテストを重ね、当初はギフテッド認定された生徒のみが対象だったプログラムを、すべての生徒が教室内で受けられるよう発展させました。SEMは "学びに対するEnjoyment(楽しみ)はEngagement(没頭)へと繋がり、さらに強力なEnthusiasm(熱中)へと発展していくという3Esの概念" (Renzulli & Reis, 2014)を基盤にしています。この3Esがうまく機能していると、生徒の学習力はより高まり、より良い成績や結果をおさめることが調査報告で明らかにされています。

                    SEMはType1、Type2、Type3という3つのタイプのエンリッチメントから成り立っています。Type1エンリッチメントは、すべての生徒にありとあらゆる物事を見せる、体験させる、体感させる拡充学習です。美術館や博物館、工場見学などの社会見学、本やドキュメンタリー映画、ゲストスピーカーを招いてのディスカッションなどがType1のアクティビティに含まれます。Type2エンリッチメントもすべての生徒を対象にしており、創造的問題解決能力や批判的思考力、理論的思考力(等々)さらには効果的なリサーチの仕方やインタビューの仕方、プレゼンの作り方など、実践的かつ具体的なスキルを、少人数のグループで課題を共に探究しながら学んでいきます。Type3エンリッチメントは(すでに各学校で選抜された)タレントプール(いわゆるギフテッドプログラム)の生徒が本気のプロフェッショナルに徹して "本物の問題" を探究していく拡充学習です。それぞれのテーマ課題にコミットする強い意思とやり抜く意欲(task commitment)が問われ、タレントプールの子達でも辞退する自由があると同時に、タレントプールに属していない生徒でも、そのtask commitmentが認められた場合は受けることができます。

                    可能な限り多くの子達にエンリッチメント教育を受ける機会を与え、それぞれの才能を伸ばし、より多くのクリエイティブな人材を育てることがSEMのゴールです。

                    Reference
                    Renzulli, J. S. & Reis, S. M. (2014). The Schoolwide Enrichment Model (3rd ed.). Waco, TX: Prufrock Press. ISBN-13: 978-1-61821-164-4





                    にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
                    にほんブログ村

                    ギフテッド基礎知識 by Dr. Webb

                    0

                      ギフテッドにおいて心理学側からアプローチすると(ほぼ)必ず登場してくるのが臨床心理学者のDr. James T. Webbです。

                      私が現在とっているコースでも早速(執筆された論文記事が参考資料として)紹介されました。

                      Dr. Webbは1981年にSENG(Supporting the Emotional Needs of the Gifted)を立ち上げられ、現在はGreat Potential Pressのプレジデントをされています。

                      アメリカのギフテッド界ではおそらく知らない者はいない心理学者でありましょう。

                      何を隠そう、私も、Dr. Webb(と、レンズーリ教授&リース教授)のプレゼンがLIVEで聞ける!体感できる!ということで、CAGCONというCALIFORNIA ASSOCIATION FOR THE GIFTEDが毎年主催するカンファレンスに参加したミーハーの1人であります。

                      しかしそのときの体験が、あきらめていた大学院進学を私自身に強く後押ししたわけで、やはり『実際に見る、全身で感じる、体験する』というのは大事なのだな、としみじみ思いました。

                      その後偶然にも息子の学校がDr. Webbを(迷える保護者のために)ゲストスピーカーとして招待したのですが、そのときのプレゼン内容がCAGCONでの(やはり保護者向けの)プレゼン内容とほぼ同じだったため、こちらのEGMブログでも改めて紹介したいと思います。

                      なんらかの参考になれば幸いです。

                      **********

                      <緑字はプレゼン中に聞き取ったメモ>

                      【ギフテッドに関する誤解】
                      *すべての分野で能力が高い。
                      *一般の教育で十分である。
                      *能力が高いため特別な支援がなくても(=放っておいても)伸びて成功する。
                      *誰かに「変わっている」と指摘されるまで本人は違いに気づいていない。
                      *学校では常に能力を発揮し、その才能を見せる。
                      *ほかの生徒の模範や手本になる/されることが好きだ。
                      *大人が継続的にプッシュしているからこそ最高の成果を出せている。
                      *精神年齢と認知能力/知能が比例している。
                      *とても育てやすく、家族はとにかく子の才能に価値を置いている。
                      *子どもはすべてギフテッドだ。←すべての子がスペシャルであることに間違いはない。しかし、すべての子がギフテッドではない。

                      【育てているなかでぶつかる12項目】
                      *うちの子は本当にギフテッド?(特徴・特質)
                      *複雑化した現代の子育て。
                      *子に適した教育。
                      *コミュニケーションと適した子育てへのアプローチ。
                      *ヤル気と低達成。
                      *しつけと自己鍛錬。
                      *きょうだい?ひとりっ子?
                      ・きょうだいのうち1人がギフテッドである場合、ほかの子たちも(レベルの差こそあれ)ギフテッド(and/or タレンテッド)である可能性が高いため要注意!
                      *知人、友人、仲間。
                      ・ギフテッドの場合、友情に年齢は関係ない。又、数でなく質に重点を置くこと。1人でも仲間がいれば最高。オンラインの仲間だって構わない。
                      *強烈感、ストレス、完璧主義。
                      *不幸感と鬱。
                      *型破り、価値観、ユニークネス。
                      *誤診と2e。

                      【4タイプのギフテッド】←雑に分けて…の4タイプ
                      *ハイアチーバー
                      *社会的リーダー
                      *創造性の高いインテリ
                      *反抗者

                      【4つの根本的特徴】
                      *They see the world differently. 異なった見方をしている。
                      *They do things differently. 異なったやり方をする。
                      *They do things intensely. 強烈にやる。
                      *But their judgement lags behind their intellect. 精神面と知能面に差が生じている。
                      ・この差は年をとればだんだんと縮まってくる。

                      【ギフテッド・チャイルドの特徴】皆がすべてにあてはまるわけではない。
                      *年相応でない豊富な語彙。
                      *年相応でない複雑な言いまわし。
                      *言葉の微妙なニュアンスを理解。
                      *長時間に及ぶ驚異的な集中力、と継続力。(関心事のみ)
                      ・ギフテッドはよくADHDと間違われるが、見分けるポイントは、この集中力。ADHDの子達は、いかなることにも集中ができない又はもたない。一方ギフテッドは、自分の関心がない事柄(例えば学校の授業や興味ない話題など)には退屈して動きまわったりするかもしれないが、自分の関心事となると驚異的な集中力を見せる。TVやネット、ゲームの際の集中は(ギフテッドであろうとADHDであろうと)あてはまらない。
                      *感性と行動の強烈感。Overexcitabilities。
                      *幅広い関心事。
                      (中略=私のミスで情報が抜け落ちてしまった)
                      *年齢にそぐわない速さで学ぶ。年相応の繰り返し学習も要らない。
                      *独学で読み書きを習得。(幼児期〜園児期)
                      *素晴らしい記憶力と、その情報の保持力。
                      *不思議なユーモア。
                      *込み入ったルール作りが好き。自作ゲームや、生活面でも。
                      *イマジナリー・フレンズ(架空の友達)と遊ぶ。(幼児期)

                      【ギフテッドの全体像、学業、情緒、交流に影響を及ぼす4大要素】
                      *ギフテッドネスのレベル。
                      ・マイルドなギフテッドとPG(超ギフテッド)では何から何まで違ってくる。
                      *不均衡な発達。
                      *Thinking styles(思考スタイル)
                      *OE(Overexcitabilities)(強烈さ)
                      ギフテッドネスのレベルが高ければ高いほど(本人のあり方、日常生活、学業、情緒、交流その他すべてが)そのギフテッドネスに更に影響される。

                      【思考スタイル】

                      *Auditory-Sequential
                      ・言語での説明を好む。言葉を使って覚える。
                      ・情報を系列的にプロセスする。一つずつ作業にあたる。
                      ・理論的に案を出す。分析作業が好き。
                      ・具体的思考作業を好む。きちんと計画された学び体験が好き。
                      ・定められた場所、定められた教材で学ぶのが好き。
                      ・事実や細部を学ぶほうが好き。
                      ・学びに対して真剣にアプローチする。

                      *Visual-Spatial
                      ・視覚的な説明を好む。イメージで覚える。
                      ・情報を全体的にプロセスする。マルチタスクが得意。
                      ・直観的に案を出す。合成作業が好き。
                      ・抽象的な思考作業を好む。開放的かつ流動的な学び体験が好き。
                      ・その場にあるもので学ぶ。自分なりの(学び)法則を確立する。
                      ・全体像を得るほうが好き。
                      ・遊びながら学びにアプローチする。

                      ・学校という場で好まれる生徒や学校というシステムのなかでやっていける生徒はAuditory-Sequentialの子達である。しかしいわゆるnerd(=勤勉)で、いじめられっ子も多い。一方nerdの家族はnerdであることが非常に多いため、理解者やロールモデルも得やすい。
                      ・誤診されやすい生徒はVisual-Spatialの子達が圧倒的に多い。学校でも問題児のレッテルを貼られやすく、低達成(=落ちこぼれ)やドロップアウトしていく率も高い。
                      ・面白いことに、正反対の思考スタイルの相手とカップル/夫婦になるケースが多い。


                      【Overexcitabilities】
                      *Intelectual
                      (多読、強い好奇心、質問攻めにする、集中する、内省、理論的思考)
                      *Imaginational
                      (想像遊び、スピリチュアルで想像的な思考、鮮明なビジュアル・メモリー、白昼夢、大袈裟、メタファー好き)
                      *Emotional
                      (特異な感受性とリアクション、他者への共感、臆病感とシャイネス、恐れと不安感、新しい環境に馴染みにくい、感情の強烈さ)
                      *Psychomotor
                      (特異な熱狂、早口、強迫的なおしゃべり、過剰なエネルギー、チックや貧乏ゆすりなど神経性の癖、衝動的な行動)
                      *Sensual
                      (覚醒された感性、五感による感覚的よろこび、鋭過ぎる感覚による苦痛例えば食べ物や場所などを避けたがる)

                      【高い能力、才能のデメリット】
                      *不均衡な発達と周囲の期待。
                      *精神面が知能に追いつかない。
                      *低達成。
                      *退屈と怒り。
                      *友達との問題。
                      *きょうだいとのライバル関係。
                      *帰属感/所属感。自分の居場所はどこ?
                      *理想の追求と皮肉癖。
                      *教師や親とのバトル。
                      *ストレスと完璧主義。
                      *誤診と2e。
                      *健康問題。
                      ・アレルギーや喘息、食べ物や薬に過敏。なぜか多い。
                      ・反応性低血糖。おやつに高タンパク質を頻繁に摂取すると良い。
                      ・アルコールやドラッグに依存。
                      Existential depression


                      《質疑応答の抜粋》
                      *ギフテッドであることがわかるのが(10歳を過ぎてしまっても)遅過ぎるということはない。
                      *ギフテッドを育てているなかで、自分もギフテッドだと気づく親は多い。経験上、ギフテッドの親も(無自覚だったり認めなかったりするが)大抵ギフテッドだ。
                      *Giftedness goes all the way.(ギフテッドネスは生涯続く。)勉強や受験、進学をやめることはできるが、"ギフテッドをやめる" ということはできない。
                      *ギフテッドのサポートのない国では、残念ながら自分達でサポートしていくしかない。私達も海外でのサポートを計画している。アジアでは、確か香港で始める予定だったと思う。
                      *経験豊かな小児科医や精神科医、心理学者、心理士、教師でも、ギフテッドを専門にしていなければ、ギフテッドに関してはまったくの素人だ。相談するなら "ギフテッドを専門にしているプロ" に相談すること。あるいはギフテッドに関して学ぶ気持ちのあるプロと共に学んでいってもいい。そのプロが学びに対して謙虚であれば不可能ではないはずだ。
                      *ギフテッドにおいて、2eであるケースのほうが比率が低い。




                      にほんブログ村 教育ブログ ギフテッド教育へ
                      にほんブログ村


                      | 1/2PAGES | >>